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農作物の盗難被害について

2026.09.05

2026年7月、伊豆市湯ケ島地区のワサビ田で、収穫を目前にしたワサビ約3,500本が盗まれる事件が発生しました。

報道によると、被害額は200万円以上にのぼるとされています。

この事件を知ったとき、私は大きな衝撃を受けるとともに、強い怒りを感じました。

ワサビを育てるには、長い年月がかかります。生産者は日々、水の状態や天候に気を配り、一株一株に手をかけながら、収穫の日を迎えるまで大切に育てています。

今回盗まれたのは、農作物だけではありません。

生産者が積み重ねてきた時間と労力、得られるはずだった収入、そして収穫を迎える喜びまでもが、一度に奪われてしまったのです。

 


全国で年間2,000件を超える農作物盗難

 

農林水産省が警察庁の犯罪統計をもとにまとめた資料によると、2025年に全国で確認された農作物の盗難は2,188件でした。

農作物を含む事件の被害総額は、1億337万円にのぼります。

近年の認知件数を見ても、毎年2,000件を超える深刻な状況が続いています。

  • 2021年 2,441件

  • 2022年 2,194件

  • 2023年 2,154件

  • 2024年 2,201件

  • 2025年 2,188件

2025年には、静岡県内だけでも95件の被害が確認されています。

しかし、被害を届け出ていないケースや、被害額を正確に算出できないケースもあると考えられます。実際の被害は、統計に表れている数字よりも多い可能性があります。

農作物の盗難は、決して遠い地域だけで起きている出来事ではありません。私たちの暮らす静岡県でも、実際に深刻な被害が起きています。

 


「食べるものがなくなることが一番恐ろしい」

 

私は以前、戦争の経験を話されていた方から、次のような話を聞いたことがあります。

「戦争で一番恐ろしいのは、戦争そのものよりも、食べるものがなくなることだ。飢餓が一番恐ろしい」

その言葉を、私は今でも忘れることができません。そして、これからも忘れることはないと思います。

私たちは毎日、当たり前のように食事をしています。

しかし、その食べ物は決して当たり前に存在しているものではありません。農作物を育てる方、収穫する方、運ぶ方、販売する方など、多くの人の努力によって、私たちの食生活は支えられています。

食べ物は、人が生きていくために欠かすことのできないものです。

もちろん、盗みは量を問わず許されるものではありません。

そのうえで、自分がその場で食べるために一つ持ち去るような行為とは明らかに異なり、収穫直前の農作物を大量に、計画的に持ち去る行為には、特に強い憤りを感じます。

金銭や転売を目的としているのであれば、それは生産者の努力を踏みにじり、人が生きるために必要な「食べ物」を

利益のために奪う行為です。

私は、それを決して許すことができません。

 


被害は、生産者の心まで奪ってしまう

 

長い月日、時間をかけて育てた農作物が、一夜にしてなくなってしまう。

その悔しさや悲しみは、当事者でなければ本当の意味では理解できないかもしれません。

被害額が補償されれば、それで元に戻るという問題でもありません。

「これだけ苦労して育てても、また盗まれるかもしれない」

生産者にそう思わせてしまうこと自体が、地域農業にとって大きな損失です。

被害が繰り返され、農業を続ける意欲を失う方が増えれば、農地を守る人がいなくなります。それは地域の産業だけでなく、美しい景観や受け継がれてきた技術、文化、そして私たちの食を支える力そのものを失うことにつながります。

伊豆のワサビは、豊かな水と自然、そして生産者の技術と努力によって守り継がれてきた、かけがえのない地域の財産です。

それを守ることは、生産者だけの問題ではありません。私たち地域全体の問題です。

 


生産者だけに防犯を任せてよいのでしょうか

 

農作物の盗難を防ぐためには、倉庫などの施錠、柵やネットの設置、防犯カメラやセンサーライトの活用、「立入禁止」「盗難防止警戒中」といった看板の設置などが考えられます。

また、不審者や不審車両について、生産者、地域住民、警察、JA、行政が情報を共有することも重要です。

しかし、山間部や広い農地をすべて守ることは簡単ではありません。

費用の問題もあります。高齢化や担い手不足が進むなか、生産者だけに防犯の責任と負担を求めることには限界があります。

私は今回、伊豆市議会の一般質問で、農作物盗難被害の防止対策を取り上げます。

農地への立入りを明確に拒む看板の設置、盗難防止の注意喚起、生産者への支援、警察やJAとの連携などについて、市として何ができるのかを確認したいと考えています。

被害が発生してから対応するだけでなく、被害を起こさせない環境を地域全体でつくっていかなければなりません。

 


伊豆の食と農業を、地域全体で守る

 

地域の皆さまが、農地の近くで普段見かけない車両や不審な行動に気付いた場合には、無理に声をかけたり近づいたりせず、まずはご自身の安全を確保してください。

そのうえで、可能であれば車両の特徴やナンバー、時間、場所などを記録し、警察へ通報することが大切です。

農作物の盗難を、「仕方がない」「防ぎようがない」で終わらせてはいけません。

人が生きるために欠かすことのできない食べ物を、生産者の努力を踏みにじって大量に盗む。

私は、この行為に強い怒りを感じています。

株式会社HADANOは、防犯設備を取り扱う地域の事業者として、この問題を多くの皆さまに知っていただくことも、地域の安全を守るために必要なことだと考えています。

まずは、地域で起きている現実を知ること。

そして、一人ひとりが関心を持ち、地域全体で目を配ること。

その積み重ねが、生産者の暮らしと日本の農業、そして私たちの大切な食を守る力になると信じています。

 


 

参考資料

  • 農林水産省「農作物の盗難の実態と対応策」

  • 警察庁「犯罪統計」

  • 静岡放送、静岡新聞、伊豆新聞等による伊豆市内のワサビ盗難事件の報道

 

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